構造化の種類⑥:変化・推移

BUCAを生き抜く知性、それは変化を構造で捉える思考


はじめに|なぜ「変化・推移の構造化」は必要か

市場の動き、顧客ニーズ、組織内の業務プロセス——ビジネスのあらゆる場面で「変化」は避けられないテーマです。
では、なぜ変化に対応できない組織や個人が生まれるのでしょうか?
それは、「変化の全体像」が見えていないからです。
変化には必ず「流れ」や「因果」「傾向」があります。断片的な現象だけを追っていては、
将来の予測も対策も立てられません。
だからこそ、「時間軸に沿って変化・推移を構造化」する必要があります。


目次

1. 構造化の目的|断片をつなげ、連続性から本質を掴む

変化を構造化する目的は、「点」を「線」に、「線」を「面」にすることです。
売上の上下、問い合わせ数の増減、社員のモチベーションの揺らぎ──
すべては「時間の中でどう動いたか?」が鍵になります。
構造化により、過去の変化と現在の状態を体系的に整理できるため、以下が可能になります。

  • 因果関係の可視化(なぜそうなったか)
  • 未来の予測(このままだとどうなるか)
  • 変化への適応・対策(今何をすべきか)

2. 変化・推移を構造化する5ステップ

STEP
時系列情報を集める(データの羅列ではなく、時間軸で並べる)

売上推移、顧客数の推移、イベント発生日、制度導入のタイミングなど、
まずは「いつ何が起きたか?」を網羅的に洗い出します。
ここではデータの“量”より“時間の流れに沿っているか”が重要です。

STEP
変化点・転換点を抽出する

全ての変化が意味を持つわけではありません。
重要なのは、「変化の傾向が変わった瞬間=転換点」です。
増加から停滞へ、停滞から急落へ──この“流れの切り替え”を特定することが、後の因果分析に不可欠です。

STEP
変化の因果・背景を分析する

転換点の前後に何が起きていたか?
外部環境(法規制・競合・季節性)や内部要因(人事異動・プロモーション・障害発生)と重ねて、
変化の原因を探ります。
このとき、「直接的要因」「間接的影響」「潜在的変化」を区別すると分析が深まります。

STEP
段階・フェーズで区切る

変化の流れを、ある一定の意味ある「期間」ごとに切り分けていきます。
例)

  • 導入期 → 成長期 → 拡大期 → 成熟期 → 停滞期
  • Beforeコロナ → Duringコロナ → Afterコロナ

こうすることで、ただの連続した出来事が「ストーリー性のある推移」として整理されます。

STEP
可視化・伝達する

最後はアウトプットとして、理解しやすく整理・表現します。
数字をただ並べるのではなく、傾向・転換・因果・背景・影響を含んだ「変化の地図」として伝えるのが
構造化のゴールです。


3. アウトプット形式の使い分け|MECEに分類・なるべく深く、広く

種類特徴適したケース
時系列グラフ推移の傾向を直感的に把握できる定量的な変化
(売上・利用数・顧客数など)
フェーズチャート意味のある期間で構造化
(例:導入期→成長期)
状態の遷移/ライフサイクルを示す
ストーリーマップ「いつ・何が起き・どう影響したか」を物語として可視化インターナル分析/戦略策定の
経緯共有などに有効
因果スイムレーン時系列 × 部署・要因別の
因果関係を描く
複雑なプロセスや部門横断の
変化整理に最適

使い分けポイント:

  • 定量データ中心→グラフ/チャート型
  • プロセス/背景に重点→フェーズ構造/ストーリーマップ型
  • マルチ要因や複雑な因果→スイムレーン/ネットワーク型

5. おわりに|変化を“点”で見るか、“線”で捉えるか

構造化とは、「起きたことを整理する」作業にとどまりません。
変化の本質を見抜くための“思考の地図”を描くことです。
複雑で予測困難な時代だからこそ、流れを構造として捉えることが、より良い意思決定の起点になります。


✅まとめ

  • 「時間軸」に沿って変化・推移を整理することで、因果や傾向が見えるようになる
  • 構造化は“過去の整理”ではなく、“未来を描く”ための準備である
  • 適切な可視化手法と段階整理により、複雑な変化を誰もが理解できるアウトプットに変えられる
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